お笑いコンビ、デニスの植野行雄(35)の二股スキャンダルを写真週刊誌『FLASH』が報じたのは6月27日であった。見た目はブラジル人だけれどもレッキとした日本人、という口ひげのあの男である。ついで、といっては語弊があるかもしれないけれども、その見た目のギャップが生みだすエピソードトークもウソだった、盛っていた、と『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(テレビ朝日・2017年7月2日放送)で告白していた。
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植野行雄のウソというのは、たとえば「イラン人同士のケンカに巻き込まれたことがある」「運動会の組体操でピラミッドをしているときに横で一人スフィンクスをしていた」、といったようなものである。しかしこれらがウソであること、ウソばかりであることはすでにテレビ業界では知れ渡っていて、それで干されてしまい、『しくじり先生 俺みたいになるな!!』での懺悔に到った、というわけらしい。
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したがって植野行雄のパブリック・イメージは〈ゲスな女たらし野郎+ホラ吹きウソ八百野郎〉で散々である。パブリック・イメージというほどのものでもないが。だいたい植野行雄、デニス・植野といわれてすぐに顔を思い浮かべられる方がいったい何人おられるであろう。
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とはいえこのこと自体は突っ込みどころ満載でかつ考えさせられる、とてもおもしろいお話である。書き出してみよう。
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◆ エピソードトークが創作ネタだとバレたら干されるのか?
ネタだったというだけなら干されるわけがない。みんながやっていることである。いっときの磯野貴理子(53)など、エピソードトークが実はでっちあげ、ということをネタにしていたくらいである。
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『しくじり先生 俺みたいになるな!!』のこの回を見ていないので違っているかもしれないけれども、植野行雄の場合、ほんとうはポリティカル・コレクトネス(political correctness = 政治的・社会的に公正・公平・中立的で、なおかつ差別・偏見が含まれていない言葉や用語/Wikipedia)に不安があったのではないか? と思うのである。
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たとえば「イラン人同士のケンカに巻き込まれたことがある」である。とうぜん「これではイラン人は喧嘩ばかりしているように聞こえる」という抗議がきてもおかしくない。いってみれば民族ネタである。仮にイラン人同士の喧嘩に巻き込まれたのが事実であったとしても、結果として笑いものにするのであれば、いまのテレビ界は恐ろしくて手が出せない。妙に敏感かつ鈍感なのがテレビ界である。
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デニスは植野行雄の見た目のギャップがウリである。民族ネタが多くなるのもわかる。しかしそれができるのはやはりライブまで、テレビにはムリだったのである。であるからそれは“干された”のではなくて民族ネタに代わる新しいギャグのパターンを考え出せなかった本人たちの責任だと思う。
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ちなみに植野行雄のテレビ出演本数はピーク時の2013年で139本、それ以降は15年45本、16年33本、今年は4月時点で9本であったらしい(「アサ芸plus」2017年7月7日配信【「二股醜聞」も頷ける!? デニス植野「嘘エピソードトーク」に世間も呆れ顔】)。なぜ2014年のデータが飛んでいるのかはわからない。
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◆ どうして植野行雄の二股がニュースになったのか?
植野行雄には申しわけないけれども、『FLASH』もネタ不足であったのであろう。植野行雄の現在の位置はまだ芸能人と一般人の境界線上のようなものであるけれども、こうした異性とのトラブルは芸能界にも一般社会にも掃いて捨てるほどある。思い出した。会社のドアノブに別れの手紙入り花柄パンティを下げられた男がいたっけ。
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『FLASH』で報じられた今回のケースではどちらも独身で不倫というわけでもないし、掲載するにはもうひと工夫ほしかったのである。たとえば狩野英孝(35)のように六股までエスカレートさせるか、あるいは川本真琴(43)、加藤紗里(27)といった強力なキャラクターを導入するか。なにかないと読者をひきつけるのは難しい。
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植野行雄、せっかくのウソつきなのに、なぜそこでウソをつかなかったのであろうか? ここが植野行雄の限界なのかもしれない。たとえば借りた1億円はもう返した、とか、本命の彼女にアイスピックで尻を刺された、とか。『しくじり先生 俺みたいになるな!!』の出演に支障が出ない範囲でやればよかったのである。
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◆ なぜ『しくじり先生 俺みたいになるな!!』はもっと仕込まなかったのか?
『FLASH』が植野行雄の二股スキャンダルを報じたのは6月27日である。くだんの『しくじり先生 俺みたいになるな!!』の放送日は7月2日。収録がいつ行われたのかわからないけれども、たとえば植野行雄の本命彼女を覆面姿ででもいいから教室に座らせるなど、なにか激しくイジれる細工をするタイミングはあったのではないかと思うのである。
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で、この機会に植野行雄は「ウソつき」というキャラクターをもっともっとクッキリはっきり確立すべきだったのである。なんだかみんな淡白すぎるように思う。
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◆ 週刊誌とネットニュースの棲み分けはどうなる?
今回の植野行雄の二股スキャンダルを受けて、果たして週刊誌はいつまでも芸能人の不倫や浮気ばかりでいいのか? という議論があるらしい。
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【デニス・植野まで…連発されるタレント不倫・浮気報道、記者たちの間で「必要性」が議論に】
《 6月27日発売の写真週刊誌『FLASH』(光文社)で報じられた、お笑いコンビ「デニス」の植野行雄のスキャンダル。
同誌では井川遥似の美女が、植野には本命の彼女がいるにもかかわらず体の関係を求められたと涙ながらに告白。さらに「タイプだし、体つきも性格も好き」などと植野は語っていたが、浮気がバレた途端一方的に別れを告げられた、と怒りを露わにしている。
ベッキーの不倫騒動から1年半。どれだけ芸能人たちの下半身スキャンダルが報じられてきただろう。報じる必要性があるもの、ないものの区分けが記者たちの間でも議論になっているという。
「芸人の浮気に関して擁護するわけではありませんが、報じられても彼らは話術で笑いに変えてしまいますし、打撃というほどのものはないでしょう。私たちが危惧してるのは、不倫を報じても『またか』と、世間に興味を持たれなくなること。すでにその傾向があるのですが、バカの一つ覚えみたいに同じことを報じても雑誌の評価が上がるとは思えません」(週刊誌関係者)
そんななか、評価されているのが『週刊新潮』(新潮社)の政治家スキャンダル。ここ数カ月、同誌が報じてきたスキャンダルのなかには、国会へかなりの影響をおよぼしたものもある。芸能人のスキャンダルが跳ねる時代はいつのまに終わってしまったのか――。
「それにスキャンダルを報じても部数が上がらないんですよ。ジャニーズの熱愛や不祥事は特にそうなんですが、ファンが不買運動に出るので、ネット媒体でやったほうがウケるんです。今や大きなスクープをとっても数字に結びつかないのは日常茶飯事。どの編集部も頭を抱えています」(同)
芸人を多く抱える大手事務所関係者もこう話す。
「この1年で何度不倫・浮気の問い合わせを受けたかわかりません。最近は迅速な対処を心掛けています。週刊誌さんや新聞社さんとはできるだけ仲良くしておいたほうがいいということも、勉強になりました」
週刊誌と事務所の付き合い方が劇的に変わったのもここ数年の話だろう。実際、リークするのはタレントに一番近い人間ということが証明されてきた。事務所の対応も変化をしつつあり、あわせて芸能人のスキャンダル報道も、形を変えていくのかもしれない。
とはいいつつ、それでも芸能人の下半身事情に世の中の多くは興味津々。芸能人たちが、のびのびとハメを外して生活する日は、当分来ることはないだろう。》
(※「ビジネスジャーナル」2017年7月7日配信)
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まったくもう。絵に描いたような蛇足の締めくくりである。「とはいいつつ」って、いままで書いてきたことをすべてご破算にしてなにをいっておるのか。いくらなんでもここまで酷いのは久しぶりである。どうやっても文字数が埋まらなかったのかもしれないけれども。
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週刊誌の世界ではタレントの不倫や浮気は飽きられつつあるし事務所の対応もこなれてやりにくくなってきたので、これからは政治家のスキャンダルなどにシフトするのではないか、というお話である。政治家のスキャンダルといってもここでいわれているスキャンダルは収賄や口利きなど本業に深く関わるものではなく、もっぱら異性スキャンダルである。
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そういわれれば広島の中川俊直(47)と北海道の中川郁子(58)の両中川とか、辞職した宮崎謙介(36)、同性愛疑惑まで飛び出した武藤貴也(38)などなど、ここしばらくのうちに話題になった方々はけっこう多い(4名とも衆議院)。
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野次馬の立場からいわせていただければ、スキャンダルならなんでも、三流お笑い芸人でも政治家でもみ〜んなウェルカムなのである。遠慮することはない。植野行雄でも、じゃないほうでも、どんどん垂れ流しておくれ、である。
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ところが誌面に限りのある紙媒体の場合はそうはいかない。集まってくる情報を取捨選択してより売れる、公共的価値の高い誌面づくりをしていかなければならない。それはあたりまえのことで、ぜひ頑張っていただきたいのである。しかし芸能人のスキャンダルが減るのは寂しい。
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対してネットニュースは書くパワーさえあればいくらでも掲載できる。毎日毎日、滝のように垂れ流してもまったくOKである。しかし残念なことに独自にネタを掘り起こし記事化できるチカラがネットにはないのである。それでみな週刊誌やスポーツ紙の記事を切り分けたり、それに論評を加えたりしてやりくりしている。
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スポーツ紙・週刊誌系以外のネットニュースは苦しい。テレビのバラエティショーで見たまま聞いたままを記事にしたりさえしている。ネットではいつもニュースの大飢饉なのである。これで週刊誌が芸能スキャンダルを減らしたりしたらいったいどうなってしまうのであろう?
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で、もちろんネット側が取材力を養うことがまず大切なのであるけれども、当面のあいだは取材力のあるスポーツ紙・週刊誌とネット上のニュースサイト間の流通の仕組みづくりが必要だと考えるのである。ソフトバンクにならってニュースバンク・スキャンダルバンクみたいな。
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ああ、国際ニュースのAFP(L'Agence France-Presse)通信社ととっても紛らわしい、女たらしの山路徹(55)がつくったAPF(Asia Press Front)にならって、コイターなんていうのもとってもいい。
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もとい。松居一代(60)に日本最高だか最強だかのお墨付きをいただいた『週刊文春』の場合、毎週の企画会議にはだいたい250本ほどのネタが集まるそうなのである。そのなかで記事化されるのは数本であろう。なんとももったいない!! ここはひとつ250本すべてワシに見せてくれんもんかのう、と切望するのである。ウラ取りはこちらでやるので。
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自然・風物写真を主に、実際に使用しなかったカットを著作権フリーで安く販売する仕事があるけれども、あれと同じである。ニュース素材集、なかなかいい思いつきだと思うけれども、ドヤ? どなたかルールづくりをしていただけないであろうか?(?)
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