男と女、女と男の関係を改めて突き詰めなければいけないのではないか? ジャーン!! と思うのである。唐突で恐縮である。なぜそう考えたかというと、最近2人の女が男からの性暴力被害を名前と顔を公表して訴えたからである。「名前と顔を公表して」が重要なところだ。
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1人目は泰葉(56)。4月24日に自身のブログで元夫・春風亭小朝(62)への告発をスタートさせ、6月2日には帝国ホテルで「音楽活動状況並びに一連の告発に関する記者会見」を開いて東京地裁への提訴の意向を宣言するに到った。ついでに和田アキ子(67)も提訴するらしいけれどもそれは置いておく。
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で、春風亭小朝に具体的になにをされたのか? という話になる。「具体的に」が重要なところだ。ネットニュースから抜き書きしてみる。
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◆『ORICON NEWS』(2017年6月2日配信)
【泰葉、前夫・小朝と和田アキ子を提訴へ 左耳の難聴原因は「小朝の暴力」】
《 —〈略〉—
「度重なる暴力」が原因で「左耳の聴力が低下しています。音楽家として致命傷なんですけど、これは後遺症です」と静かに語った。布団でぐるぐる巻きにされて2階から突き落とされたり、逆さ吊りにされて食パンを口に詰め込まれたり、熱いみそ汁をかけられたこともあったという。
また、新たな診断書も公開した。これまで双極性障害によるうつ病と診断されていたが、小朝の暴力を原因とする心的外傷後ストレス障害(PTSD)との診断が下された。
—〈略〉— 》
◆『サンケイスポーツ』(2017年6月2日配信)
【泰葉が春風亭小朝と和田アキ子を提訴へ 小朝には「SMプレーのプロを呼ばれ…」】
《小朝から受けた虐待は婚約時から始まり、「階段から突き落とされたり、SMプレーのプロを呼ばれ、性行為をさせられたりした」。》
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事実であればたいへん酷いお話である。私はたぶん事実であろうと考えているけれども、ここではとりあえず事実と仮定して先に進みたい。
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もう1人はジャーナリストの詩織(家族の意向で名字は非公開・28)。元TBSテレビ報道局ワシントン支局長でジャーナリストの山口敬之(51)から性的暴行を受けたとして5月29日に記者会見を開いた。
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事件の具体的な経緯、そして山口敬之の逮捕が不可解にも突然中止されたことなどが説明されたけれども、先にちょっとふれておくと、この記者会見について全国紙はまったく報道していない。完全スルーである。(「NEWSポストセブン」2017年6月1日配信【首相腹心記者の強姦告発会見 全国紙は1行も報じなかった】)
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山口敬之は記事のタイトルにもあるように《安倍晋三首相(62才)の腹心として知られ、テレビ出演も多く、「総理に最も食い込む男」と呼ばれている。安倍首相への直接取材を行った著書『総理』や『暗闇』が代表作だ。》(「NEWSポストセブン」)で、今回の件についてはフェイスブックで「法に触れることは一切していない」と反論しているらしい。
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はっきりとした証言のある性的暴力の疑いをまったく見過ごして「ない」ことにするとはあまりに酷い。腰巾着の1人が不始末をしでかしたらしいという報道を官邸の顔色を窺って控えるようでは、全国紙(読売・朝日・毎日・日経・産経)は翼賛体制のお先棒担ぎといわれてもしかたがない。
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実名や顔を公表しての性的暴力の告発には、誹謗中傷、仮に悪意はなくても心傷つく言葉や態度に曝されるなどの二次被害の懸念がつきまとう。セカンド・レイプである。法の執行の迅速を望むのであればそれを怖れてはいけないのであろうけれども、被害者本人にとっては堪え難い苦痛である。
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そしてセカンド・レイプのお話になるといつも奇妙に感じるのが男たちの目線が急に極端に振れることである。たとえばついさっき「今年の新人の女の子さあ、いいケツしてんだよお」なんていっていたオヤジが「レイプされても精神的にキツくて訴えられないっていうのもわかるよなあ」といってみたりする。どうも乖離しているというか幅が広すぎる。
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なぜこんなことになるのであろう? ほとんどの男にはふだんから女目線でもモノを考える習慣がないからである。考えられないし考える訓練も受けていない。女系家族に生まれ育ち、生まれたときから一貫して高度モテ期にあり、女にまみれるようにして生きてきた私にはわかる。少し見栄を張ってしもうた。
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であるからセカンド・レイプというテーマを眼前に突きつけられると一気に自分のもてるデリカシーの極地まで到達してしまう。こうした問題を理解しようという気持のある良心的な男たちほどそうなってしまう。しかしそのクチですぐにまた「あそこのコンビニのバイト、いいチチしてんだよお、フェッフェッフェッ」などとほざく。まったく信用できない。
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性犯罪を防ぐにはまずは必ず犯人を捕まえ、罰することである。その一方で「強姦罪は、親告罪であるから、被害者(又はその法定代理人等)の告訴がなければ公訴を提起することができない(刑法180条1項)。これらの犯罪の追及はかえって被害者の不利益になることもあるため、訴追するか否かを被害者の意思によることとしたものである。」(Wikipedia)という事情もある。
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告訴すればとうぜんこちらの名前その他が知られることになる。裁判での反対尋問にも耐えなければならない。であるから「名前と顔を公表して」、「具体的に」語ることに腰が引けているようではなかなか難しい。難しいけれども、それではいけない、と男の立場からいうのもはばかられる。
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であるから今回の泰葉と詩織の2人の「名前と顔を公表して」の「具体的」な告発はたいへん前向きで重要な意味がある。
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「男の立場からいうのもはばかられる」。女と男の関係においてこうした状況はめずらしい。女の気持を考えている状況がめずらしいのだ。冒頭「男と女、女と男の関係を改めて突き詰めなければならないのではないか?」と書いたのはここである。
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女と男の関係でイニシアティブを握るのはもっぱら男の側ということになっている。女は受け身でそれに応えるなり拒否するなりする。たとえば女と男のあいだに境界線があったとして、関係を前進させるには最初にどちらかがそれを超えなければならないのだけれども、それはもう考えるまでもなく男がやるべきことという無条件の了解がある。
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“逆ナン”などという言葉があること自体その証しである。ああ、ここのところは泰葉と詩織の件とはまったく関係がない別個のお話である。
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で、男はそういうものだと微塵の疑いも差し挟まず、たとえば女にアプローチしたり指図したりする。しかしそのときの女の気持を男はいったいどのくらいの割合で具体的に想像するのであろうか? おそらく非常に少ないと思う。女のほうも世の中そんなものだと思っている。
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しかし世の中そんなものだと思っているにしても、その女の気持に不満や憤りや諦めなんかがまったくないのか、といえばそうでもないであろう。そんなわけで一事が万事、男にとってはあたりまえでも女の側からしてみればそうでもない、ということが多々あるように思うのである。それが長年大量に積み重なって女と男のあいだの壁をつくっている。
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いちいちこっちの意見を聞かれてもウザいんだわよ、といってはいけない。女もずんだ餅ならずんだ餅、沢庵なら沢庵、あんこ玉ならあんこ玉を食べたいとはっきりと告げなければならない。そうしていかないといつまでたっても男は女目線でのモノの見方、考え方というものがわからない。
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それが麗しき日本文化の否定だとか生物学的に不自然だとかいってはいけないのである。女と男の関係は新しい段階を迎えているのである。フェミニズムということはとくに意識しないで書いてきたけれども、結果的にそれに近いことになってきた。
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大切なのはつね日頃からもし自分が女だったらどう感じるか? と考えることだ。そうしないとすり込まれた偏見や差別は消えない。
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おおっと、こんな話をしているときになんとも男らしいニュースが入っていた。『ZAKZAK』(2017年6月2日配信)から抜粋しよう。
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【重婚疑惑の中川俊直氏、次はSM写真流出の“醜聞”炸裂 丸刈りも反省の色なし】
《不倫女性に絡む「ストーカー登録」「重婚」疑惑を報じられ、自民党を離党した中川俊直前経済産業政務官(47)に、新たな“醜聞”が炸裂(さくれつ)した。1日発売の『週刊新潮』が「『中川俊直』頭を丸めた 重婚ストーカーのSM緊縛写真」という記事を写真付きで掲載したのだ。「心因反応」で休養中の中川氏だが、“政界復帰”への道はまた遠のいたようだ。
衝撃的な写真だ。縄で縛られた女性の脇で、中川氏は弾けんばかりの満面の笑みで映っているのだ。同誌によると、東京・銀座の高級クラブで、昨秋撮影されたという。中川氏は「オレ、SM縛りが上手いんだ」と語っていたという。広島の有権者はどう感じるだろう。
—〈略〉— 》
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うむ。「SM緊縛写真」など、ほとんど女の寛容さに依存するかプロとしての仕事をさせたかの産物である。あるいはただの暴力か。虐められるの大好き〜ぃ、などという女は神秘的な女と同じくらいの超稀少生物である。と、見なければいけない。ウソだと思うなら自分も他人の前で縛られてみればいい。
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そして、そんなふうにしてどんどん女目線がわかっていって、その結果女嫌いになったとしても当方はまったく責任を負えないのであしからず。急なお別れでごめんね。(了)
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