294kgあった体重を88kgにまで減量するのに成功した、あるいは体重が215kgにもなって動けなくなったために皮膚がソファに癒着してしまいそのまま亡くなった、というようなニュースがときどき伝えられる。ちなみにこの2例はともにアメリカの女性である。
*
人間はどこまで太れるのであろう? 元大関・小錦八十吉(a.k.a.KONISHIKI・53)の最重量記録は284kgである。しかしとくに鍛えたわけでもないふつうの人間が動けなくなるまでを限界とすれば150kgまではいかないであろう。人さまのチカラを借りなければ生きていけないのであれば生きものとしてやはりマズい。通風になったら痛いし。
*
では人間の体重を1kg増やすのに必要な食料はどのくらいであろう? 豚の場合では体重(精肉部分)を1kg増やすのに穀物3〜3.5kgが必要とよくいわれる。生まれてから出荷までは約半年であるから、この間に必要な穀物が1kgあたり3〜3.5kgである。でもって出荷時に体重は約110kgになる。半年間で110kg、ウソみたいであるけれどもほんとうのお話である。で、うち精肉部分は約47kg。畜産はいろいろスゴい。
*
人間を豚のように歩留まりのよいところ、つまり育ち盛りのピーク手前まで肥育するとすれば10数年はかかる。しかもそれでも体重110kgには満たない。精肉の割合も豚に較べればずっと少ない。家畜としての人間のエネルギー転換効率はたいへんよろしくない。しかも穀物ばかりを食べているわけではないから、いったん動物性食品に置き換わった分だけさらに効率はダウンする。たぶん豚に較べて数百倍というオーダーではないかと思う。
*
なにをいいたいのかといえば、人間は肉用の家畜としてはたいへん不向きである、ということをいいたいのである。品種改良にも時間がかかる。人間を飼うなら豚を飼え、鶏を飼え、と私は下の記事を見ながら思ったのである。
*
************************
【世界の10人に1人が肥満 大規模な国際調査、「危機」的状況に警鐘】
【AFP=時事】世界では現在、10人に1人以上が肥満で、22億人が過体重となっており、毎年何百万人もの命を奪う健康上の危機がますます深刻化している──。こうした実態を示す大規模な国際調査結果が12日、発表された。
米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に掲載された論文によると、肥満人口は調査を開始した1980年に比べ、73か国で2倍以上に急増、それ以外の国でも増加が目立っているという。
調査は195か国で35年にわたって行われ、肥満を扱ったものとしては過去最大とされている。その結果は、スウェーデンの首都ストックホルム(Stockholm)で開かれた学会で発表された。
調査を終えた2015年の時点で、世界の肥満人口は子どもが1億770万人、成人が6億370万人に上っており、研究チームは「拡大が続いている、憂慮すべき世界的な公衆衛生上の危機」だとして警鐘を鳴らしている。
子どもの肥満率は成人に比べて低いとはいえ、研究期間中の増加率でみれば大人よりも速いペースで肥満化が進んでおり、専門家らの間で大きな懸念を呼んでいる。
(※「AFPBB News」2017年6月13日配信)
************************
*
「世界的な公衆衛生上の危機」というのは医療の負担が増えるといっているのであろう。それにしてもデブが急速に増えているのには驚いた。あ、この記事にはないけれどもBMI(体格指数)25以上が肥満、BMI35以上が高度肥満である。
*
BMIは〈体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)〉で求める。身長160㎝で体重が60㎏であればBMIは23.4、身長170㎝で体重70㎏ならBMIは24.2。かつかつ「肥満」の範囲には入らない。逆に身長160㎝で肥満とされるには64㎏、高度肥満とされるには90㎏の体重が必要である。170㎝ならそれぞれ72㎏、101㎏。
*
今回の記事にある“大規模な国際調査結果(2015年)”の肥満人口は、子ども1億770万人、成人6億370万人。合算すると8億1400万人である。いつも食糧難であるとか飢餓であるとかのニュースに接しているので、デブが世界規模で10人に1人以上!! バレーボールや野球、サッカーのチームに必ず1人、AKBには4.8人と考えるとしこたまたまげるのである。
*
「たまげる」は「魂消える」であって、たまきえる、たまきえーるゲロゲーロ!!(by青空球児)なのである。なんのことだか。
*
しかしそのいっぽうで世界の飢餓人口も着々と減っているとはいってもまだ7億9500万人にも達する(国連「世界の食料不安の現状2015年報告」)。飢餓とは栄養不足のために生存と生活が困難になっている状態である。日本の総人口の6倍以上の人々がその状況に置かれている。
*
◆ 肥満人口:8億1400万人
◆ 飢餓人口:7億9500万人
*
肥満と飢餓がこの地球上で拮抗しているのである。飢餓人口も10人に1人以上!! バレーボールや野球、サッカーのチームに必ず1人、AKBには4.8人である。世界規模で。
*
● 世界の富裕層上位80人の資産総額が貧困層35億人の資産総額に匹敵する
● 世界人口の1%の富裕層の資産が2016年までに残り99%の人口の総資産に匹敵する
(※国際支援団体オックスファム・2015年1月19日発表/Wikipedia)
*
こうして見ると、たしかに地球上の人間のありかたの歪みがより直截的に鋭く感じられる状況になってきたという点では少しマシになったといえるかもしれない。世界の富裕層上位80人は7億9500万人の飢餓のためになにをしているのだ? と。世界人口の1%の富裕層はなにをしているのだ? と。
*
しかしやはりなにかザワザワとしたものも感じないではない。栄養摂取量と人口の相関グラフをつくれば、肥満人口と飢餓人口それぞれが世界人口約80億人の上位と下位を10%づつ占める。全体の合計20%。パレートの法則である。どんなに優秀な人材を集めても必ずそのうちの20%は脱落する、そこで生き残った人材ばかりを集めても、また必ずそのうちの20%は脱落する、というようなヤツ。
*
したがって現在の地球上の肥満/飢餓状況を種としてはバランスがよいと考えるバカなヤツがいないとも限らない、と思うのである。国際陰謀論ではなくて、なんといえばいいのか結局人間なんて獣性に引きずられる畜群よ、のイメージである。
*
さてさてそうすると私の歪んだアタマのなかにはもう飽きるほど観たゾンビ映画のあのシーンこのシーンが蘇ってくるのである。いやというほどつくられ続けてきていまもさらに新作が途切れないのである。フランス映画にすら「RAW」というかなり強烈なヤツが出てきた。
*
さらにゾンビは登場しなくてもカニバリズムものはやまほどある。「進撃の巨人」も「東京喰種」もその一種であろう。この“人を喰う”というブームはいったいなんなのであろうと思うのである。ヒトグルメ。でもってその底にはデブ10%、飢餓10%の“バランスのとれた世界”に生きる罪障感があるのではないか、と思ったりするわけである。人さまを巻き込んで申しわけないけれども。
*
ほらあなた、テレビカメラに向かってなにか食べているタレントなどに向かって、テメエが先に喰われろ!! と思ったことはありませんか? ファーストファミリーというのかドナルド・トランプ大統領のご一家を見て、ゾンビ映画で最初にやられるヤツらだ!! と思ったことはありませんか?
*
私はしばしばそんな妄想をしてしまい、それはきっとトイレに置いてある『Hot Pepper』グルメページからつながっていると思っているのである(昨日のエントリー参照)。(了)
OCN モバイル ONE データ通信専用SIM 500kbpsコース

CMで話題のコスメやサプリがSALE中☆

【DHC】最大70%OFFのSALE開催中!

0 件のコメント:
コメントを投稿