2017年6月14日水曜日

「粘膜商売は疲れる」、実に巧みに真理をついた言葉だと……



いまトイレで『Hot Pepper』をめくっていたら、ついにアタマがクラクラした。トイレで気を紛らわすのにはなぜか食物の写真がいいという根っからの悪趣味野郎が、ついにあまりに大量の食物写真の氾濫に圧倒されたのである。



マゼンタとイエローのっけ盛りの色調で名刺サイズ程度にびっしりと並んでいる食物写真はなぜかとても不安な気分にさせる。それでも気を紛らわすには効果絶大であったのである。いったい人間はどんなふうにできているのであろう?



この1ページに紹介されているボリュームで私ひとりならゆうに1ヵ月は食える、からはじまって、この食物たちはみんなどこから来たのだろう? とか、そうだよなあ、食べものっていうのはみんな生きものなんだよなあ、とか、世のなかには食べられない人もいるんだよなあ、とか便器に股がって連想していると、やはり最後には地獄の光景に見えてくる。



返す返すもわれながら見苦しくはしたないことである。それでも気を紛らわすには最高だったのである。みなさんもお通じにお悩みの際はぜひお試しいただきたい。『Hot Pepper』のグルメページを開き、口を大きく開けながらそれを眺める。ガーゴイル(gargoyle=ゴシック大聖堂などに見られる怪物の彫刻がついた雨どい)になった気分でゴボゴボ流せる。



私自身は食べものにはあまり興味がない。失神するほどウマいものに出会ったこともないし、虚空を掻きむしるほどのものにも、絶叫するほどのものにも、目玉を剥き出すほどのものにもお目にかかったことはない。いくら素材が素晴しくかつ調理技術が秀でているなどと熱く説かれても食べものはしょせん食べもの、という感じである。



であるから、これは以前に何回か書いたことであるけれども、いいトシをしたオヤジがあそこのナニがウマい、カニがウマかったウシまけたというような話をしきりにしているのを耳にするとバカではないのか? と本気で疑う。渡部建(44)みたいなヤツは渡部建ひとりでウンザリ満腹である。きっと喪服の佐々木希(29)はスゴいに違いない。



であるから食べものには興味がないのである。いまふつうに食べられているからこそのシアワセではあろうけれども。



そうなのである。興味がないなどといっていられるのは食べられているからこそなのである。食べ終わった途端に次の食事のことでまたアタマをいっぱいに膨らませるのも飽食、興味がないなどとうそぶくのも飽食である。



それにしてもグルメレポーターとかなんとか、仕事として日々食べ続けておられる方々はエラいと思うのである。おいしそうなフリもしなければならないし。テレビカメラに面と向かって大口を開けて喰い、あまつさえその口のなかの咀嚼途中のぐちゃぐちゃを見せながら話ができるというのはよほどたいしたものである。最近は役者までそれをやる。大泉洋(44)、いつも汚ねえ。



さてここまで「食べる」という行為がおおっぴらに消費されるようになってしまうと、あとは性行為しか残っていない。ような気がする。いつも「食」と「性」をセットに考える私である。いやいやまずはどこかでお食事でもして……、ではない。人間の本能、生理として捉えるということである。



グルメレポーターで思い出したけれどもある元AV女優が「粘膜商売は疲れる」と語っていたのはたぶんそういうことであろうと思うし、そういえば「性」の意味をもつ「色」が「食」とおなじ「ショク」という音読みなのも偶然ではないと思うのである。



で、とりあえずいちおうはあまねく行き渡っている「食」と同じように「性」もまた日本ではそろそろ飽和しつつある。パートナーがいるホンモノの「性」ではなくて、カニカマみたいな代替品ではあるけれども。



グルメレポーターのトップが彦摩呂だとすれば性のトッププレゼンターはしみけん(清水健・37、週21本労働)である。彼らおよび彼らの先達のおかげで、両分野においてもうだいたいどんなものが出てきても驚かなくなった。エロサイトのカタログページなど『Hot Pepper』のグルメページとよく似た雰囲気になりつつある。



そうすると急逝(1992年)してノーベル文学賞を逸した安部公房(享年68)の小説『密会』に出てくるオルガスム・コンクールみたいなことが実際に行われないとも限らないではないか。



そんな飽食の時代にひとつささやかな秩序を求めているのかもしれない、人生最後の食卓になにを食べたいか? という話がよくある。おなじように人生最後の瞬間に思い出す女がいるとすればそれは誰か、という問いを設定してもおかしくはない。おかあさ〜ん!! だと? バカをいうでない。



私の場合は初恋の相手、小学校3年生の美也子ちゃんであり、これはもう友近(43)などなどでクリシエと化しているのでほんとうにいいたくないのであるけれども思い出す食物は魚肉ソーセージであろう。ほとんどマトンをつかった安物のハムでもいい。



私にとってはそこに行き着くまでの『Hot Pepper』グルメページである。『SHARE MOVIE』である。ああ、魚肉ソーセージとカニカマに彩られた人生であった。結局、コピー品を愛でつつカタログを眺めて終わる一生なのであった。



「食」についてはなにか特別な話題が飛び込んでこないかぎり明日もう少しちゃんと書こう。それまでなにとぞしばしご容赦。(了)




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