私はギスギスした雰囲気が大嫌いである。たとえば彼女がいたとする。いまオナラをした!! いやゲップだ!! とか、拾い食いをするな!! いやもったいない!! とか、ごくごくささいなきっかけで諍いが起こったとする。お互い無口になる。その1分1秒が耐えられないのである。意気地がないのかわがままなのか、心の底から別れたいと願うのである。友達がいないのも無理はない。
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そんな私の髪の毛が逆立つようなニュースが入ってきた。あ、ただいま見栄を張っておりました。『文春オンライン』(2017年3月1日配信)である。とりあえずご覧いただきたい。
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【WOWOWドラマで天才子役が号泣した徹夜の“違法撮影”】
5月放送のWOWOWドラマ「東京すみっこごはん」の撮影現場で、法令に違反する子役の就労時間オーバーが相次いでいたことが、「週刊文春」の取材により明らかとなった。
問題の撮影は1月21日、東京・練馬区の東映東京撮影所で行われた。夜を徹した長時間撮影を強いられたのは、NHKの朝ドラ「とと姉ちゃん」や「砂の塔」(TBS系)に出演した“天才子役”稲垣来泉(くるみ・6)だ。
この日、稲垣は昼12時入り。撮影は朝5時まで17時間続けられた。監督の三島有紀子氏(47)は稲垣の演技に納得がいかず、深夜3時過ぎからダメ出しを繰り返し、数十回にわたる撮り直しを強行。プロデューサーの森井輝氏(43)も現場にいながら撮影を中断しなかった。稲垣は同行していた母親に抱き付き、肩を震わせて泣き始めたという。この前日も稲垣は深夜2時まで14時間に及ぶ撮影をさせられていた。労働基準法では満13歳未満の年少者の20時から午前5時までの就労を禁止している。
WOWOWと制作会社ROBOTは連名で書面回答。事実関係を認めた。撮影現場の模様は、3月2日(木)発売の「週刊文春」で詳しく報じる。
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三島有紀子、本名だそうである。Wikipediaによると1969年生まれなので名前の由来に違いない三島由紀夫が自衛隊市ヶ谷駐屯地に突入し、割腹自殺を果す前年である。もちろんご本人の責任ではまったくないけれども、わが身に置き換えて考えてみればこれ以上厄介な名前はちょっと思いつかない。なにも姓が一緒だからって……である。根本太。
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で、この『文春オンライン』の記事には三島有紀子の写真が添えられている。47歳のオトナの顔は誰の責任でもなく100%自分の責任である。三島有紀子、元フォーリーブスの(おりも政夫+北公次)÷2である。おりも政夫(63)と 北公次(享年63)、はっきりいってしまえば、少なくとも当初は中心メンバー、青山孝(のち孝史に改名・享年57)と江木俊夫(64)の引き立て役であった。
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なにもおりも政夫と 北公次と特定せずとも三島有紀子、ジャニーズのアイドルグループの“脇”の顔つきである。つまり愛想よく主役をひき立てるのが役割。本人もまたそれをよしと心得て邁進する人のよさがあるはずなのである。たしかにWikipediaの検索ページトップに上がっている若かりしころの写真はそんな感じである。
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しかしながら『文春オンライン』に添えられている近影はジャニーズの“脇”が煙草を喫って捕まってしまってからの顔である。有紀子になにがあったのであろう? 今回の「徹夜の“違法撮影”」をやらかしたからそう見える、というのでは決してない。「全顔主義」創唱者にして顔面評論家のカオリンがいうのである。ぜひご自身の目で確認していただきたい。いっていることの深い意味がご理解いただけると思う。そしてあなたも人さまの顔を見て笑う悪魔の快楽に取り憑かれるはずである。
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それにしても6歳の子どもに「深夜3時過ぎからダメ出しを繰り返し、数十回にわたる撮り直しを強行」するのはなんたる極悪非道、冷酷無残、鬼畜の所業であろうか。日本はまだいまのところ児童労働に頼らなければ暮らしていけないほどの貧困国ではない。
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しかも稲垣来泉がいま現在も6歳だとしたら、今年の春から小学1年生の可能性が極めて高い。学齢期に達していない子どもは「幼児」である。所属プロダクションも含め、まわりのオトナたちはいったいなにをしているのであろう?
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ほう。たとえ幼児でも6歳でもプロはプロ? 坂上忍(49)なんかがいい出しそうなことである。しかしこれはまったくあべこべである。6歳のプロの役者から役者を除いても存在は残るけれども、子どもを除いてしまったら思い出しか残らない。これが基本的人権というものの考え方だ。よく覚えておいていただきたい。
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だいたいにしてプロ云々をいうのであれば、深夜子どもに数十回もの撮り直しをさせる監督としての無能をまず恥じなければならないであろう。そもそも監督が求める演技とその意図を前もって6歳の子どもにもわかるようにきちんと説明しきれていれば、こんなバカなことにはならないのである。
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さらに撮り直しが数十回にもいたる経過で、そのもっとずっと前のどこかでストップをかけなかったのは、これはもうパワハラ、イジメの領域である。ある程度捨てることを前提に演技させていたのだとすればもちろんもってのほか、論外である。はい、もう1回! もう1回! もう1回! もう1回! これで演技が向上するわけがないではないか。
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監督としてはおそらく“偶然の”1回を待っているつもりなのであろうけれども、そのやり方はとてもではないけれどもまったく非効率的でり、同時に演じる側に対しての酷い侮辱である。これでは仮にOKシーンが撮れたにしても、役者はワケがわからないままに終わってしまう。その後の成長にも一切結びつかない。なにやらわけのわからない根性路線、精神主義、素振り千回、シャドー万回を待っているヒマはないのだ。プロとしてお互いを尊重しあうということができないのかしらん。
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ましてやそれが6歳の子どもを相手に行われたことを考えればサディズムの匂いさえしやしないか? するする!! 監督の自己顕示欲、かりそめの権力の誇示、お門違いの優越感を満足させるには役に立つであろうけれども。つまり人間性を疑いますよ、という話をしている。
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労力のムダ、金のムダ、現場の雰囲気の悪化。これぜ〜んぶ監督の責任である。さらに違法労働行為で撮影されたシーンを放映するわけにもいかないのでもっとも軽微な対応で済ませるにしても撮り直しは必至、それから先のなりゆき次第ではこのドラマの企画自体が潰れる可能性もある。
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どうだ? このくらいのダメ出しではまだまだ数十回分には足りないけれど。
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何十回もの執拗なダメ出し、いわゆるシゴキは芝居、演技の世界ではよく耳にする。たとえば脚本家の遊川和彦(62)などはNHKのくっだらな〜い朝ドラ「純と愛」(2012)の撮影現場で怒鳴り散らして主演の夏菜(27)をトイレに籠城させたりなんかしていたのである。バカである。
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ああ、そういえば三島有紀子が監督したテレビドラマ作品に「レディレディ~トイレで泣いたことありますか?~」(中京テレビ・2013)があると資料に載っていた。いや、ただそれだけである。重ねてそういえばHey! Say! JUMP中島裕翔(23)を自宅に7連泊もさせた吉田スタミナ羊(たぶん42)も「 純と愛」で出てきたのであった。いや、ただそれだけである。
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しかし夏菜はあの視聴率的にもまったくふるわなかった「純と愛」の撮影さえなければ、後々の激しい顔面カスタマイズはなかったと思うのである。「 純と愛」の平均視聴率は放送時間が朝8時からに変更になった2010年以降で最低の17.1%である。遊川和彦恐るべし。書くシナリオはいつもエグいだけでめっちゃくちゃだし。
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問題は、どうして映画界や演劇界、テレビドラマの撮影現場などで何十回もの執拗で無意味なダメ出しみたいなことがいまだにまかり通っているのか? である。それはたぶんヒエラルキーを維持するためのマウンティングだと思うのである。
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映画界や演劇界、テレビドラマの撮影現場は自由業、自営業の集まりである。それぞれの能力を定量的に評価することもできない。そんな状況で秩序を維持していくにはきっちりした上下関係がほしい、ということである。そこで監督には絶対的な権限が付与される。あとは先輩後輩とかなんとか、である。で、監督を除けばこのヒエラルキーは才能や努力とはまったく関係がない。下の者は上の者のいうことに無条件に従わなければならないのである。
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一方で、これは主に監督やプロデューサーにかかわってくるのであろうと思うけれども、撮影現場のヒエラルキーは内部統制に必要であると同時に世間との対応においても重要な意味をもっているのである。カタギの世界というやつである。こちらヤクザな世界。後ろ指をさされたくなければこちらもカッチリしたところを見せなければならない。
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で、ほかにできることを思いつかないのでシゴく。なにごとかやらかした兄貴分が身代わりの舎弟を連れて謝罪に行き、その相手の眼前でこれ見よがし、こっぴどく殴りつけるようなものである。そんなアウトローな気分が積もり積もってシゴキすら日常的なメンタリティを醸成してしまったのだろうと思う。しかしもうそれも終りにしてほしい。ムダだし怖いから。
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うむ。SMAP解散騒動であらわになったジャニーズ事務所の専横ぶり、能年玲奈(23)と清水富美加(22)VS.レプロエンタテイメントで問題になった“奴隷契約”などなど、芸能界の旧弊・悪癖・いけない手クセ全般を見るにつけ、みんな1回潰れてしまったほうがいいと思うのは私だけではあるまい。
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それにしてもさっき「東京すみっこごはん」が「東京すみっこばっこん」に見えたのである。そうとう怒っていたはずなのに。ダメだ。どうにかしている。頑張れ!! 自分。(了)
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