驚いた。アリアナ・グランデ(23)が被害者救済のためのチャリティ・コンサートをイギリス・マンチェスターで開催すると発表したのである。被害者というのはもちろん、5月22日マンチェスターの「マンチェスター・アリーナ」でコンサート終了直後に起きたISによる自爆テロの被害者である。
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つまりアリアナ・グランデは事件の起きたその土地に戻ってもう一度コンサートを開くというのである。たいへんに強い意思、闘志を感じる。
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【マンチェスターで慈善公演へ=米歌手アリアナさんが声明発表】
【ニューヨーク時事】米人気歌手アリアナ・グランデさん(23)は26日、自身のフェイスブックに声明を投稿し、英中部マンチェスターで自身の公演時に起きた自爆テロの被害者らを支援するため、現地で慈善公演を行うと発表した。日程など詳細は決まり次第明らかにするという。
グランデさんは声明で「驚くほど勇敢なマンチェスターに戻って慈善公演を行い、被害者やその家族に敬意を表し、寄付を募る」と表明。被害者らへの支援も約束した。
グランデさんはテロ直後、ツイッターに「言葉がない」などと短く投稿。その後、世界ツアーの中断を発表した。しかし、声明は「やめたり、恐れながら活動したりしない」「憎悪に勝利させない」とテロに屈しない姿勢を強調。ツアー継続の意欲を強くにじませた。
(*「時事通信社」2017年5月27日配信)
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これが社会派といわれるU2であるとか去年12月にBABYMETALをサポート・アクトに同じマンチェスター・アリーナでコンサートを開いたRed Hot Chili Peppersだとしたらわからないでもない。しかし若干23歳の、可愛いが売りのお嬢さんにこんな毅然とした強さがあったことに驚いている。
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もちろんセキュリティの問題があるので実際に開催されるかはまだわからない。しかしアリアナ・グランデがこうした反テロリズムの姿勢を明確に強く示したことは社会的にたいへんな意義がある。とくに若年層への影響は大きいはずだ。
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アリアナ・グランデは2015年のアメリカ独立記念日(7月4日)に、北カリフォルニアのドーナツ店でまだ売り物,陳列中のドーナツを勝手に舐めつつ「アメリカ人は大嫌い。アメリカは大嫌い」("What the f― is that?" "I hate Americans, I hate America.")と発言したと映像と音声つきで報道された(Wikipedia)ことがある。アメリカ生まれのアメリカ人なのだけれども。
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たぶん一般がもっているイメージとは大きく異なって、アリアナ・グランデは社会的な関心を強くもっている人物なのであろうと思う。当時は気にもしないでスルーしていたけれども、建国記念日に悪態をつきながら棚のドーナツを舐めるなどとは完全に確信犯的にアメリカを嘲笑している。見直そうっと。
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おお、そういえばBABYMETAL のYUIMETAL(17)も好きなミュージシャンにアリアナ・グランデを挙げていたのであった。こちらのお嬢さんも見る目がある。
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ことがことなのでそのアリアナ・グランデにひきかえ、とはいわないけれども、アリアナ・グランデがチャリティ開催の声明を出したと同じ26日、6月2日のロンドン、同4日パリでの公演の中止を発表した「GENERATIONS from EXILE TRIBE」は、ちょっとバツが悪い。オラオラなのに。
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しかしもちろん「GENERATIONS from EXILE TRIBE」はなにも恥じる必要はない。アリアナ・グランデも続くワールドツアーのロンドンO2アリーナのほか、ベルギー、ポーランド、ドイツ、スイスで予定されていた合計7公演をキャンセルしている。安全第一。これにともなうアリアナ・グランデ側の損害は5億円を超えるらしい。(「Forbes JAPAN」2017年5月27日配信)
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であるから「GENERATIONS from EXILE TRIBE」はただ間が悪かったというだけなのである。しかし落ち目のときは間が悪いことが起きるもの、ともいえてしまうのである。
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それにしても子どもにもファンの多いアリアナ・グランデのコンサートをそれと知ってターゲットにしたISはほんとうに酷い。他人の命までも引き替えにしてかまわない大義など存在するわけがないし、ましてやそれが子どもとは。
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今回のテロではマンチェスター・アリーナのロビーで爆発が起きて、22名が亡くなり、59名が負傷している。ISの犯行声明の一節には以下のように書かれていた。
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「アラーの恩寵と支援と共に、カリフの戦士の1人がアラーの宗教への復讐として、異教徒へのテロの企てとして、ムスリムの地への犯罪に対する報復として、イギリスの都市であるマンチェスターの十字軍が集まる場所に爆発物を仕掛けた」
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「復讐」「報復」とは、もう個別に特定などできるわけもないけれども、たとえば以下のような状況に対してである。
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《昨年10月から始まったイラク軍と米軍によるモスル制圧作戦は現在、ISがチグリス川西側の旧市街地に追い込まれ、一時は5000人もいたと見られる戦闘員はもはや400人程度しか残っていない、という。IS戦闘員の捕虜がほとんどいないのは結果的に「“皆殺し”にされている」(ベイルート筋)からに他ならない。》(「WEDGE Infinity」2017年5月25日配信)
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『Don't Kill It』(マイク・メンデス監督、2016)という悪魔憑きがテーマの映画がある。悪魔に憑かれて人を殺す人が出てきて、その悪魔に憑かれた人は銃で撃ったりすると簡単に死ぬのだけれどもその瞬間に今度はその悪魔は銃を撃った人に憑依してしまう、というしかけである。
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襲いかかる悪魔憑きを撃った瞬間に撃った人間の目の色が文字通り変り、その場に居合わせた人たちまで無造作に殺してしまう。で、こりゃいかんと慌てて誰かがソイツを撃つと、また悪魔はその誰かに乗り移る、という悪魔の堂々巡りなわけである。そこにやってきたデビルハンターというのが“人間核弾頭”ドルフ・ラングレン(a.k.a.ロッキー4の敵役ドラゴ・59)であった。
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最初、これは人間の世界で行われている報復の応酬、憎悪の連鎖のカリカチュアかと思ったのだけれど制作側にその意図はないようである。しかし悪魔憑きを退治したすぐその場で悪魔憑きになってしまうのだから、たとえ話としてものすごくわかりやすい。
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次々に自分の宿主を殺したヤツに憑依していく悪魔を最終的にどうやってストップさせるのかはネタバレになるのでなんともいえないけれども、わかるでしょ? うむ。たぶんそれほどの決意がなければ報復の応酬、憎悪の連鎖は止められないのであろうと思う。しかし止めなければならない。人間は悪魔ではないのだから止めなければならない。
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《テロ事情に精通するベイルート筋は「ISは中東の戦場で米軍の空爆やイラク軍に追い詰められ、滅びが間近に迫っている。折からイスラム教徒の宗教心が高まるラマダンが27日から始まる予定で、米欧に最後の報復を開始したのではないか。欧州全体でテロが続発する危険がある」と警告する。》(「WEDGE Infinity」2017年5月25日配信)
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殺されるのはイヤだし殺すのもイヤだ。弱虫上等。(了)
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